彼女の名前は菜美。彼女を知る者達からは「落ち着き無美」と呼ばれている。とにかく落ち着きがない。いつでもどこでもそわそわそわしている。瞬きもハンパないしている。彼女がそんな風になったのは、彼女が幼稚園の頃に起きたある事件がきっかけだ。事件という程でもないだろうか、これを幼少に体験した方は決して少なくないと思われる。かくいう私も体験した。それは、そう、おもらしだ。幼稚園の行事で、遠足に行った時のことだ。急に催したのだが、その時いた場所は原っぱのど真ん中。トイレはおろか、隠れて用を足せるような草むらも、近くに見当たらなかった。