僕と彼女が出会ったのは山奥だった。おばあさんから伝え聞いた伝説の湖を探しに険しい山へ入り、歩き始めてから2時間ほど経っていた。薄暗く生い茂る木々から突然開けた場所へ出て、眩しいと思い目を細めた僕がその次に見たものは、吸い込まれそうなほど青くて深い水面だった。息を飲み、辺りを見回した僕は、ここが伝説の湖なのだと確信した。――伝説の湖とは?東北地方のとある山奥にある。その昔、一人の美しい娘が不老不死になるため願を掛け、この湖の水を飲んだ。恐ろしいくらいに美味しいこの水は、飲んでも飲んでも飽きず、むしろ余計に喉が渇くような錯覚を起こすほどだったそうだ。