亡くなった祖父の大屋敷に暮らすことになった由鈴正吾は、夢現の中にいつも不思議な美女の姿を見ることになる。――『零子』。それは屋敷に飾られている肖像画の美女である…はずだった。押し掛け女房たちに囲まれた甘くてツラい、嵐のような秘め事の毎日。賑やかでHな日々に、だが、正吾の胸の想いが晴れることはなかった。自宅の庭に一年中咲き渡る不思議な桜。その下で、正吾は零子と出逢う。まるで導かれるかのように。立ち尽くす正吾に、伏せていた目をゆっくりと開いて零子は優しく微笑んだ。
貴方だけこんばんわ -零子-
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