スーツケースを引き、渋谷のハチ公の前で一人俯いている子がいた。見るからに純朴な雰囲気で田舎から出てきたことが容易に想像できた。それがこの小春だった。後に聞くと財布を落として携帯も充電切れ、「都会の人はなんかみんな急いでいるみたいで、話しかけづらい」と途方に暮れていたそうだ。これはチャンスと思い、すかさずダミーの名刺を取り出した。「俺、今雑誌編集やってるんだけど、女の子向けの雑誌でモデルに急にドタキャンが出ちゃってさ、君可愛いし即金で払うからモデルやってみない?帰りの電車賃ぐらいは出せるよ。」…ダミーの撮影を適当に終わらせたところで、早速本題に入る。